アイコン 新製品の初期ロットは購入すべきか?

様々な製品で新製品が開発され販売されています。その中で特にパソコンは新製品の登場周期が早く、次々出てきます。


新製品といっても二種類に分けられ、一つは今までに使われてきた実績のあるパーツで構成され今までによく使われてきた機能を搭載した製品、もう一つは全くの新しいパーツで構成され更に新しい機能が搭載された製品です。今回は後者の全く新しいパーツで構成され更に新しい機能や性能を搭載した製品について私個人の考えを皆さんに紹介してみたいと思います。あくまでも一個人の意見として参考にしてみて下さい。


全くの新しい製品には開発した企業のノウハウが詰まっていますのでその企業の技術レベルが解ります。高度な最新技術を投入し製作した製品は主にフラッグシップモデルとして販売されます。企業の最新最高の技術であるため、これまでにない性能、機能、特殊デザイン、軽量化などが盛り込まれいます。しかし反面、性能や機能の不安定さや生産性の低下による価格向上、未知の不具合などの問題点もありかなりのリスクを含む場合もあります。


まず、生産現場の立場から新製品のリスクについて考えてみます。私は現在勤めている工場で主に生産管理をしていますが、兼務で製品開発も手がけています。これまでに数種類の新製品を世に送り出してきましたが、どれも生産を安定させるには数ヶ月掛かりました。いつも思うことは「いかに生産性を低下せずに新しい技術を安定して製品に組み込むか」です。私が生産している製品では、新しい技術にはこれまでにない「手間」を必要とします。工場では「手間」が掛かると掛かるほど生産性が低下し、不良率が上がり、製品単価が上がります。せっかく生産しても利益率の悪い製品になってしまいかねません。


ちなみに私の工場のフラッグシップ製品は年間2〜3台売れると良い方です。なにせ生産準備から出荷まで約1ヶ月要しますから大変です。不良率も低くはなく決して利益のある製品ではありません。それでもその製品を欲しい方がいる限り生産します。


話が少しそれてしまいましが、次に問題となるのは未知の不具合です。新製品開発では必ず性能試験や強度試験を実施します。企業内で決めた規格に基づいて善し悪しを判断し、加えて実績のある製品データとも比較します。その上で改良を重ね試作品の製作になります。試作品は約半年〜一年使用試験を経て更なる不具合を改良し製品となります。この様な試験を繰り返しても実際市場に出ると未知の不具合が発生する場合もあります。企業の「試験不足」と言われるとそれまでですが・・・やはり悔しいです。


この様に企業側から見ると新製品には「新しい希望」だけではなく未知のリスクも含んでいます。


次に購入者側から新製品のリスクを考えてみます。やはり、一番に思い浮かぶのは製品の安定性です。便利な機能が搭載されているのは良いが数回使用しただけで不能になってしまってはわざわざ高いお金を出して購入した意味がありません。しかも、修理に出してメーカーの対応が悪ければ目も当てられません。


全くの新製品とは早い話が「実績のない製品」と言うことになります。しかし、企業側同様に「新しい希望」でもあります。私は普段どちらかというと実績のある製品を好みます。しかし、購入タイミングによっては新製品を購入する場合もあります。ゲーム機のプレイステーション2(以下PS2)がそうでした。丁度、PS2が登場する少し前にプレイステーション(以下PS)が壊れてしまい修理に出そうかと考えていました。その時にPS2の発売を知り悩んだ末にPS2を購入しました。その時の「新しい希望」がPS2ではPSのゲームも出来る事でした。


しかし、実際には動作しないゲーム等もあり大変だった様に憶えています。数年後にはその様な話は聞かなくなりましたが。私が惹かれた性能は不安定でがっかりしました。これが新製品のリスクでます。


実際に市場に出てみなければ解らない不具合の例ですがこの様に新製品には購入者側から見てもリスクを含んでいます。


新製品について企業側と購入者側がの両方から考えてみましたが、どちらも通常製品よりリスクを含んでいます。しかし売れていない訳ではありません。「新しい希望」がリスクを上回っているからです。更に新製品の不具合に大半の企業は迅速に丁寧に対応してくれます。「実績のない製品」ですから企業も慎重になっています。少なくとも私の工場はそうです。最悪は新品への交換もします。決して利益はありませんがそれ以上に実績が欲しいからです。今後の糧にするためにもまず実績がなければ次に展開していけません。ですから、アフターフォローについては安心できるんではないかと思います。


この様なリスクをふまえた上で購入しようと考えている方は購入しなければならないと思います。「この製品は誰も使った事がない、自分が最初である。」と言うことをよく認識してください。あらかじめ多少の不具合はあるものだという覚悟が必要です。ちょっと大げさかもしれませんが、それぐらいの心構えが必要であると思います。


以上のような心構えが嫌な方はもう少し様子を見て落ち着かれた頃に購入された方が良いと思います。私は基本的に後から購入するタイプなのでこちらの方をオススメします。せっかくお金を出すのだから失敗したくありませんよね。特にパソコン等は高価なものですから性能的にも品質的にも安定性が一番であると思います。


最終的に購入するかしないかは皆さんの判断になりますがこの様な考え方もあるという事を頭の片隅に残してもらえれば幸いです。


以上、長くなってしまいましたがここまで読んで下さってありがとうございます。もし目や体が疲れていましたらゆっくりと休んでください。



2008.12.30作成






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